私は本州の東海地方出身。大学から北海道で住み始めていますが、北海道の暮らしでやはり気になるのは暖房代。
スタッドレスタイヤがいらない地域出身者の目線で北海道の暖房について考えてみます!
北海道の家の中はかなり温度が高い!
家の中では半そで半ズボンが当たり前・・・
東京や名古屋にお住まいの方の多くは、冬になれば家の中ではフリースを着たりもこもこパンツを穿いたりすることが多いと思います。しかし北海道民の多くは基本的に室内で重ね着はしない方が多いです。それくらい暖房設定温度は高いのです。
札幌の百貨店などに行っても、店内温度の高さは顕著で28℃以上あるのではないか・・・?と思うこともしばしば。最も、東日本大震災後北海道でも省エネルギーの考え方が広まってきているのか、近年では少し冬場の設定温度は下がってきているような気はしています。
とはいえ、やはり本州と比べ設定温度はまだ高いと感じます。
冬にデパートに行くと外との寒暖差でくらくらする・・・
北海道では冬にアイスがかなり売れる!
テレビでもたびたび取り上げられていますが、北海道では冬に結構アイスが売れます。それは前述のアイスを食べてちょうどいいレベルに達している室内温度のため。
外はマイナス10℃を下回っていても、室内は25℃。そして半そででアイスを食べる。そんな家庭はかなり多いのではないかと思います。
暖房代は家の性能やライフスタイルによって大きく変わる!
北海道における暖房代は、家の性能や昼間家にだれかいるかどうかといったライフスタイルの差で大きく変わってきます。また、熱源によっても非常に大きな差がでます。
一応、周囲で聞いたことのある暖房給湯(ガス・灯油・電気)代を下記にまとめてみます。ただし、個々人の暖房設定温度や使用する機器や契約業者によって大きく変動しますのであくまで参考程度に。
一人暮らしで暖房代3万って下手したら家賃レベル・・・
個人的には、本州基準の暖房温度設定にすれば新築戸建て・灯油暖房であれば、家族4人構成で2万程度じゃないかな・・・と思います。
ちなみに、この例を見ると、プロパンガスのコストの高さが際立って見えると思います。本州でも経験がおありの方も多いとは思いますが、選択する熱源によってランニングコストはかなり大きく変わってくるのです。
北海道の熱源は全体では灯油が圧倒的に主流。都市部ではガスが強い。
本州の暖房と言えば、最近ではエアコンが主流になりつつあるのではないかと思いますが、北海道では圧倒的に灯油が主流と言えます。
近年では北海道レベルの寒冷地にも対応した”寒冷地エアコン”も登場し、徐々に広まってきてはいますが、まだ灯油・ガス暖房のシェアを崩すまでには至っていません。
<灯油>
◎ランニングコストが安い
◎基本使用料がかからない
◎郊外地域でも利用可能
〇災害時に比較的強い
×価格変動が大きい
×大型灯油タンクの設置が必要
△器具がガスに比べ若干高い
<都市ガス>
◎価格変動リスクが低い
◎灯油タンクの設置が不要
〇器具が若干安い
×使用可能範囲が都市部に限定される
△災害に若干弱い
<プロパンガス>
〇災害時に比較的強い
〇初期費用が安い(ことが多い)
×(賃貸の場合)価格交渉権が無いため、法外な価格での供給の場合も
×基本的に供給価格が高い
×タンクの置き場所が必要
<電気>
◎基本使用料を一本化できる
◎灯油タンクの設置が不要
〇価格変動リスクが比較的低い
×使用機器のレベルによって使用料が大きく変わる
△(北海道は)価格が若干高い
伝統的に寒冷地で好まれる灯油は、ランニングコストと地域を選ばないのが強み!
なぜ圧倒的に灯油が有利なのかと言えば、それはランニングコストと調達のしやすさ。この2点に尽きます。
ここ15年ほどで原油価格がかなり上昇し、灯油価格も2000年頃に比べれば2~3倍程度となっていますが、それでもガスや電気に比べればランニングコストは安いと言えます。(過去は30円/Lくらいだった時もありましたが、現在は85円/L程度でしょうか)
さらに、北海道は都市圏を除き人口密度が低い地域。当然都市ガスの供給を受けられる地域は非常に限られています。そのため、業者の灯油ローリーが入れる道路さえあればどこでも供給可能な灯油は郊外地域でも非常に強いと言えます。(最悪、灯油缶を持って自分でガソリンスタンドに買いに行けますしね)
弱みと言えば、大型灯油タンクの設置が必要なことと、器具が若干ガスに比べ高いこと。ただ、都市圏を除き北海道の住宅は敷地面積80坪以上が多いですし、器具が高いと言っても5万以下の差となることが多いですので、それほど問題にはなりません。
北海道では、大型タンクを住宅横に設置し、業者が勝手に給油していくスタイルが一般的!手間はほぼかかりません!
そういやなんでうちは灯油缶持ってガソリンスタンドに行ってるの?
そっちの方が安いから!
そうなんだ!(灯油缶邪魔なんだよなぁ・・・)
最近都市圏で勢力を拡大している都市ガス。価格安定感と敷地の有効利用が強み!
一方、都市ガスも都市圏では最近多く採用している住宅を見るようになりました。
灯油価格がかなり上昇し、都市ガスのコストとそれほど差がなくなってきたことに加え、都市ガスは価格の変動リスクが比較的少なく、家計費の計算がしやすいというメリットがあるほか、都市圏で大型灯油タンクを置くスペースがない・もったいないというニーズにも合致します。
住宅ビルダーも都市圏では都市ガス仕様を進めてくることが多いですし、都市ガス供給会社もセントラル暖房やエネファームを利用する場合に大幅に使用料金を割り引くプランを出すなど近年魅力が大きくなっています。
最近ではエネファームを併設し、電気代削減につなげようとする住宅もちらほら増えてます。
個人的には、都市ガスが使えるエリアは都市ガスを最有力で考えてよいのではないかと思います。ただ、災害時には若干弱い傾向がありますので、ポータブル灯油ストーブと灯油一缶程度は備蓄しておいた方が良さそうです。
私が一人暮らししてた時も都市ガス物件!
家賃は少し高かったけど、それ以上に暖房代
が安かった!
賃貸でのプロパンガスは危険性大!特に暖房にも使用している場合は避けた方が吉!住宅の場合は、バルクタンクの検討を。
プロパンガスは悪徳業者が多く、私も大学生の頃に給湯代で、多くの勉強代を払わされるハメになりました。
プロパンガスはもともと、ガスボンベを各家庭に設置・交換するという仕組み上、基本使用料が非常に高い傾向にあり、基本使用料だけで3,000円弱徴収される場合もあります。また、賃貸住宅の場合、ガス設備をプロパンガス供給業者が無償提供する代わりに供給権を得るという慣習もあり供給元を居住者が選ぶことは事実上ほぼ不可能です。
そのため、供給業者は足元を見て、法外な従量単価を設定する場合がしばしばあります。
私が学生の時に住んでいた物件は幸いにも暖房は灯油だったので何とか4年間過ごせましたが、暖房もプロパンガスとなっている物件は使用料が給湯だけに比べ大幅に増えるため、非常に危険です。
最近は、良心的なプロパン業者も現れては来ていますが、その良心的なプロパン業者を探したり価格比較をすることは非常に手間になります。賃貸の場合は、プロパンガス物件は原則避けた方が良いでしょう。どうしても借りる場合でも給湯のみの物件にしておくのが吉と言えます。
一方、戸建ての場合で都市ガス供給域外の方はキッチンでIHヒーターを使わない場合はほぼ確実にプロパンガスを契約することになります。昔は、プロパンの価格が高いことを嫌い、給湯・暖房:灯油、コンロ:プロパンとしている戸建てがほとんどでしたが、最近は熱源をすべてプロパンガスとして、供給価格が抑えられる、バルクタンク設置型の供給も増えてきています。
バルクタンクとは、縦長のプロパンボンベではなく、家の横に大きめのガスタンクを固定し、そこにガスローリーから直接補充する方式。バルクタンク方式に対応する業者は比較的安価にガス供給してくれることもあるようです。
電気も最近、寒冷地エアコンの性能が上がり、熱源選択の一つになってきました
北海道のような寒冷地でオール電化は厳しいとずっと言われてきましたが、近年寒冷地エアコンやエコキュートの性能が上がっていることで現実的な選択肢の一つになってきました。
灯油に比べ、価格変動リスクが低いことも魅力の一つ。
ランニングコストも、ヒートポンプ技術の向上で都市ガスと勝負ができるレベルになりましたし、今後住宅建築を考えられる場合は一回考えてみてもいいかもしれません。
しかし、電気を用いた暖房はただ単純に燃料を燃焼させるだけの灯油やガスに比べ使用する機器の性能や環境によって電気使用量が大きく左右されます。そのため、暖房・給湯機器の選定は慎重に行うことをお勧めします。
また、これは北海道特有の事情ですが、北海道は電気の供給価格が非常に高い状態です。また、燃油調整金や再エネ賦課金ものしかかってくると、現状、灯油と互角に勝負ができる状況では決してありません。あくまでも、都市ガスとプロパンガスの間のイメージと考えた方が良さそうです。
一方、よく言われる停電時に凍死してしまうという声ですが、実は灯油にせよガスにせよ北海道の給湯・暖房器具はほぼ電気を使用しないと起動しないものですからオール電化だから不利ということはありません。電気不要のポータブルストーブと灯油1缶の備蓄をしておきましょう。
寒冷地でのエコキュートの貯湯タンクは室内設置に
なるので、スペースには注意!
北海道の住宅選び(賃貸含む)で暖房熱源の選択は非常に大事!
北海道は地域柄暖房費はどうしても高くなりがちです。誤った熱源選択をしてしまうと、その後の家計を大きく圧迫することになります。
自分のライフスタイル等にあったベストな選択ができるよう、慎重に選択することをお勧めします!