住宅を購入するときに多くの方が利用する住宅ローン。その際に、建築業者が選ぶローン会社にするのか、それとも自分で選ぶのか、どのローンを利用すべきか、固定金利とすべきか変動金利とすべきか、ほぼすべての方が迷われると思います。
また、金利についても、借りる金額が大きいため、0.1%の差が結構な金額差になってきます。
私も、今住宅建設検討の真っただ中ですが、ローン選択はかなり迷いました。いろいろとその過程で調べたことや知ったことをまとめておきます!

ローンの話数字まみれですごい疲れた記憶が・・・
借り方は大きく分けて3パターン!
住宅ローンの借り方には、大きく分けて3パターンが存在します。まず、金融機関の独自住宅ローンとフラット35の2種類。これから、金融機関独自ローンは、固定金利・変動金利と分かれて、計3種類。なお、フラット35は固定金利のみ。
最近はネット銀行が主流となってきていますので、店舗型とネット型では分けていません。
ローンの成り立ちが大きく異なるフラット35
まず、住宅ローンには、成り立ちの違いからフラット35と金融機関の独自ローンの2種類が存在します。
フラット35は旧住宅金融公庫の流れを引き継ぐ、公的要素の強い仕組み
フラット35は、独立行政法人の住宅金融支援機構が各金融機関と連携して実施している住宅ローンサービスです。旧住宅金融公庫の流れを引き継いでおり、公的支援の要素も強いです。
詳細な仕組みは割愛しますが、金融機関は自身で負うリスクが少ないことから比較的審査が通りやすいローンと言えます。
特徴は、下記の通りです。
フラット35のメリット
長期間の固定金利が低い!
銀行が独自に提供している住宅ローンでは固定金利プランは10年や20年ほどのものが多く、30年以上のものはあったとしても、フラット35に金利面で敵わないことがほとんどです。
住宅ローンは借入金が大きくなることから、金利が変動した場合家計への影響は非常に大きくなります。その部分の不安を取り除くことができる面で35年固定金利は非常に大きなメリットと言えます。

35年も金利が固定されるのは安心感が半端ないね
審査が比較的柔軟で通りやすい
また、審査面でも、国民支援の意味合いもあるため比較的通りやすいというメリットがあります。個人事業主にはありがたい、事業用ローンは審査考慮から原則外されますし、育休中などの場合でも相談に乗ってもらえることもあります。審査が厳しい傾向にあるネット銀行系とは大きく異なる点の一つと言えます。
金利引き下げ制度も魅力!
国の政策に対応するという部分で、フラット35Sなどの金利引き下げ制度があることも魅力の一つ。省エネ性能などが高い住宅や、リノベーション(性能向上)を行う場合、更には地方団体と協調する(少子化対策)形など様々な金利引き下げ制度があります。
引き下げ幅は0.25%と現在の低金利時代にとってはかなりの金利引き下げ幅ですので、利用できる場合は積極的に利用しましょう。
フラット35のデメリット
変動金利がない
ネット銀行系では団信込みで0.5%を切るレベルまで低下している変動金利ですが、フラット35ではその名の通り、変動金利は存在しません。フラット35と併用(9割以上部分)するために変動金利を提供している金融機関もありますが、その場合の金利は非常に高い場合が多く、利用は現実的ではありません。
手元に資金が十分あり、住宅ローン減税目的等で住宅ローンを申し込む場合や、少しでも低金利で借りたいといった需要には対応が難しいと言えます。
10年程度の固定金利の場合、利率がネット銀行系に比べ不利
住宅ローン減税をにらみ、10年(もしくは13年)で返済を完了させようとされている方は10年程度の固定金利が最も適しているわけです。
フラット35の場合、返済年数20年以下・以上で金利は分かれており、20年以下の場合は若干金利は下がるものの、金融機関が独自に提供している10年固定の金利と比べると劣る場合が多く、デメリットの一つと言えます。
団信の内容が金融機関独自ローンと比べ劣る
フラット35の団信は、古くからの定番と言える、死亡/高度障害時と診断のみで残金が消えるタイプの、新三大疾病に対応したもの2パターンがあります。一方、金融機関独自ローンでは、8大疾病や11大疾病まで対応したものなどもありやや劣ると言えます。
ただし、金融機関独自ローンでの団信の内容は金融機関によって大きく異なります。フラット35の団信が必ずしも劣るわけでもありません。更に、金融機関独自ローンで8大疾病対応とする場合には借入金利の上乗せ等が発生することもあります。内容を精査し、比較するようにしましょう。
個人的には、医療保険等に入っているのであればフラットの新三大疾病でも十分対応できるかな・・・とは思いますが。
適用金利は、融資実行時に確定。申込時から変動するリスクも!
これは、金融機関独自ローンでも同じ場合も多々あります。
建築会社等と連携している銀行の場合など、本申込時点で金利を確定させてくれる箇所もありますが、フラットの場合は、あくまで融資実行時の金利が適用されます。
注文住宅の場合は、事前審査を行ってから融資実行まで4~10か月程度かかるかと思いますので、リスクの一つになるでしょう。
頭金が1割以上必要!
金融機関独自ローンの場合は、建築費用全額をローンで賄うフルローンが可能となっているところもありますが、フラット35の場合はあくまでも9割までの融資しかできません。要するに1割は必ず現金で支払う必要があり、フルローンを考えている方には利用は難しいと言えます。
フラット35を扱う一部金融機関では、1割分を独自に融資するローン商品を用意しているところもありますが、その利率は住宅ローンとして考えると非常に高く現実的とは言えません。
ネット銀行の変動金利は圧倒的低金利!店舗型銀行は住宅業者との連携が魅力!金融機関独自ローン

金融機関が独自に提供している住宅ローンは、カーローンなどと同じくリスクを金融機関が負う形のローンとなります。住宅という公共性が高い貸し出しということと、建設した住宅を担保に取れること、団体信用保険を付帯することなどから金利は個人貸出の中では一番低いレベルに設定されます。
金融機関独自ローンのメリット(一部抜粋)
ネット銀行系の変動金利は異常ともいえる低金利レベル!固定金利も20年まではかなり低い!
ここ1、2か月で金利はやや上昇を始めていますが、それでも歴史的低金利と言える日本の住宅ローン金利。その中でも、ネット銀行系の変動金利は異常ともいえる低金利となっています。
例えば、じぶん銀行では一般団信とがん50%特約(診断時に残金が半額になる)がついて、0.457%(19年12月)。借入時の事務手数料2.2%はかかりますので、純粋に0.457%の年利で借りられるわけではありませんが、それでも借りる金利としては信じられないレベルの低金利です。
ちなみに、じぶん銀行の20年固定金利は0.901%。これもフラット35を超えるレベルの低金利と言えます。

預金金利が低いのに困っていたけど、こういうところにもつながっているんだね!
団信の内容はフラット35に比べ充実していることが多い
フラット35の欄でも触れましたが、団信の内容はフラット35に比べ充実している銀行が多いです。団信の内容が充実していれば、事実上の生命保険として活用できますので生命保険料が浮くという考え方もできます。
8大疾病や11大疾病等対応した団信がオススメです。

ガンと診断された時点で残金ゼロ!というのは魅力的ですよね
店舗型銀行は地域の工務店等との連携が強み。申込時から金利据え置き等も
店舗型の銀行は住宅ローンの契約の獲得に向けて地域の工務店や営業所を持つハウスメーカーとの連携を取っているところが多いです。そういった銀行では、金利はネット銀行系に比べやや劣る傾向にありますが、申込時の金利を融資実行まで据え置いてくれたり、手続きが非常にスムーズだったりする利点があります。
すべてではないが、フルローン型のサービスもある
フラット35では9割融資が限界ですが、 金融機関独自のローンの場合、10割まるまるローン組みできるフルローン型のサービスもあります。低金利の今、住宅ローン減税を活用するために、手元にお金があってもフルローンを組みたい・・・等の場合は便利な商品と言えます。(銀行によっては扱いがない場合も多いです)
金融機関独自ローンのデメリット(一部)
省エネ性能等による金利引き下げ制度は少ない
フラット35では、フラット35Sという省エネ性能高い住宅やバリアフリー住宅等に対する金利優遇制度が存在します。一方金融機関独自ローンではあまりそういった優遇制度は見られません。
おおよそ20年を超える固定金利や、それ未満の固定金利であってもフラット35Sが適用できる場合は、フラット35を利用する方が有利なことが良いでしょう。
20年を超える長期間の固定金利においては、フラット35の金利に対抗できる金融機関独自ローンはほとんどない
フラット35は公的支援の意味合いも強い制度。そのため、やはり民間の金融機関で35年レベルの長期間にわたる固定金利ではフラット35に立ち向かえないのが現状です。
また前述の通り、フラット35ではSと呼ばれる金利引き下げ制度も存在します。20年を超える、長期間固定金利の住宅ローンではフラット35を選択するのが無難と言えます。
フラット35に比べ審査が厳しい!
金融機関独自ローンの最大のデメリットがこの審査が厳しいこと。特にネット銀行系は機械的に与信審査をしますので、ネット銀行が定めた基準に適合しない申込者は事情等の聞き取りなく、否応なしに否決されます。
店舗型の銀行や信用金庫においては、住宅建設業者と連携している場合、ネット銀行よりは柔軟に審査に応じてくれますが、それでも自営業者等はハードルが高いと言わざるを得ません。
フラット35は事業用借入は審査にあまり影響しないなど、非常に借り出しに前向きです。(もちろん、破産した方や他のローンで滞納等ある方ははじかれますが)
この部分では、やはりフラット35に比べ金融機関独自ローンはやや劣ると思います。
固定金利と変動金利の違い・・・3年固定などの客寄せ商品に注意!
基本的には固定金利をお勧め。但し、手持ち金が大きいなどの場合は変動金利もメリットが大きい!
住宅ローンを借りられるほとんどの方は20年以上を超える期間の返済を計画されているかと思います。その程度の期間になると、期間中の経済情勢を見渡すことはほぼ不可能であり、金利動向を見極めることが難しいと言えます。
仮に、変動金利としていて、現在の0.5%程度から急に2%へ上がった場合、残金にもよりますが返済金額は跳ね上がります。
※残高2,000万円、返済残り15年の時点で金利が変わった場合の月支払(元利均等・ボなし)
〇0.457%・・・114,984円
〇2.0% ・・・128,701円(月間13,717円、年間164,604円、総額約247万の負担増)
リスクを抑えた返済計画を考える上では、やはり固定金利が第一選択になるかと思います。
一方、5年~10年程度での返済目途が付いている方や、手持ち金があり、住宅ローン減税や団信を生命保険目的で活用する場合は変動金利のリスクがある程度抑えられますので変動金利の選択も視野に入ってくるかと思います。
なお、10年固定金利と変動金利の差を現状の利率で計算すると大体0.25%程度となります。
ネット銀行系では、状況に応じて変動金利か10年~20年(完済可能であれば)の固定金利がオススメ
ネット銀行系では、変動金利の利率が非常に低くなっています。しかも、変動金利から固定金利への変更は無料で対応可能としている銀行も多くあります。(但し、新規借り入れの固定金利の利率より高くなりますので注意が必要)
手元にある程度大きな資金があり、金利上昇時にはすぐにある程度繰り上げ返済ができる方は変動金利がオススメです。
但し、金利変動には常に注意を払う必要があるほか、あまりに金利上昇のペースが速い場合は固定金利への変更が間に合わないリスクも伴います。
そのあたりの管理ができる方であれば、ネット銀行の変動金利住宅ローンはおすすめできます。
なお、20年以内に完済予定であれば銀行独自ローンの固定金利がオススメとなります。(固定金利20年程度まではフラット35に比べ、比較的金利が安く設定されているため)
店舗型の金融機関は、地域によってさまざまな商品がありますので、いろいろと見比べて選定されることをお勧めします。

うちは心配性だから固定金利の方がいいね・・・
3年固定や5年固定などの当初期間固定金利ローンには注意!
よくローコスト住宅の広告などで月間返済額が家賃並みのローン返済でOK!とされているものがありますが、その場合によく使われているのが2年や3年などの短期間の当初期間固定ローンです。買ってしばらくの間だけ安い支払いとなる・・・、ある意味悪質なキャッチです。
3年固定や5年固定と言ったローンは当初の固定期間、非常に低金利で借り入れができる特徴がありますが、その後は変動金利で最初に借り入れする場合より高い金利が適用されることがほとんどです。固定期間終了後、その銀行の変動金利での新規借り入れ利率が適用されるわけではありませんので十分に注意が必要です。
じぶん銀行の場合、金利変動がなく、固定期間終了後変動金利へ移行した場合
2年固定ローン・・・当初金利:0.4%、当初期間終了後、0.651%(基準:2.341-引下1.691)
変動金利・・・0.457%
じぶん銀行は良心的ですので、固定金利終了後の金利引き下げが大きく、そこまで大きな差にはなっていませんが、それでも0.2%程度差が付いてしまいます。
短期間の当初金利固定ローンはその期間で返済できる場合以外は選択しない方が良いでしょう。
固定金利は安心感が大きい。20年を超えるローンを考える場合はフラット35一択
ただ、前述の通り、長期間のローンを組む場合は固定金利を選択することがリスク回避につながります。20年を超えるローンの場合はフラット35をまず検討し、地域の店舗型銀行などでそれを上回る金利のものが万一あればそちらを検討してもよいのかもしれません。
あはたぴ家はフラット35を選択しました。
我が家は検討の結果、フラット35を選択しました。
返済期間は20年程度を見込んでいましたのでネット銀行系の固定金利でもよかったのですが、住宅がフラット35Sの基準に当てはまり金利引き下げがされることと、万一何かあって返済が伸びた場合に備え35年で当初契約し、何もなければ繰り上げ返済を進めることができる安心感からフラット35を選択。
ネット銀行系の変動金利の利率は魅力的でしたが、やはり、金利が4%に上がってしまったら・・・とか考えてしまうと手が出せませんでした。
あとは、融資実行までにここ2~3か月、上がり始めている金利が止まってくれることを祈るばかり・・・