冬の北海道で4WD(四輪駆動)は絶対に必要なのか?~意外と2WDでも走れる

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 北海道で自動車と言えば、4WD車が必要と思われる方も多いのではないでしょうか?実際、北海道は4WD車が多く走っており、特に北部などになってくるとその割合は6~7割を超えてくると思われます
 こういった状態のため、北海道で車を買うのならば4WDでなければならない!と思われている方もかなり多くいらっしゃいます。今回は、北海道で生活するにあたっての4WD車の必要性について考えます。

4WDは北海道民の車選びのベースではあるが・・・

 4WD車は北海道民の車選びのベースとなっていることがかなり多いです。自動車ディーラーなどで車の購入を進めていくと、南部の一部を除き、「四駆でいいですよね?」とほぼ間違いなく聞かれるほどです。

ヨメ
ヨメ

うちの実家の車もずっと4WDしかなかったな~

そもそも4WD車って・・・?

 では、そもそも4WD車とは何なのか。
 暖地で主流なのは、FFと呼ばれる駆動方式。Front Engine Front Drive の略ですね。車の前方にエンジンがあり、前輪である2輪がエンジンからの駆動力を地面に伝え、後輪はブレーキ機能しかもたないもの。
 一方、4WD(Four Wheel Drive)は、エンジンからの駆動力を前輪に加え後輪も地面に伝えることができるシステム。前輪2輪がぬかるみ等にはまって動けなくなっても、後輪が動くため脱出できるといった仕組みです。このような構造のため、降雪地では雪にはまって動けなくなるリスクが抑えられる等の理由で、重宝されているわけです。
 但し、走破性では2輪駆動車に比べ圧倒的なメリットを持つ4輪駆動車ですが、デメリットも存在します。メリットとともにまとめてみます。

メリット

4WD車のメリット
  • 大雪の際などに動けなくなってしまうリスクが下がる
  • 冬季の信号待ちの後など、アイスバーン上からの発進が非常に楽
  • (常時4輪駆動の場合)走行安定性が高く、カーブでも安定性が保てる
  • (寒冷地では)車両売却時に高額で売れる傾向がある
大雪の際に動けなくなるリスクが下がる

 北海道の北部日本海側等は一夜にして20~30センチほど雪が積もることもあります。そのような状況下になってくると、雪質にもよりますが、2輪駆動車では動けなくなってしまうことがまれにあります。あまり頻度は高くありませんが、大雪の後に雨が降ったりして、雪がシャーベット状になった状態では動けなくなった車がちょくちょく見られます。
 そのような状態でも、4WDの場合は比較的動き出しやすく、脱出しやすいという特徴があります。

アイスバーン上からの発進が楽

 おそらく、北海道で4WD車を買われている方の多くはこのメリットに一番魅力を感じているように思えるほど2WDと比べ圧倒的優位性を持つメリット。
 北海道では、主に都市部などにおいて減速や発進を繰り返しやすい信号の部分がアイスバーンとなることが多いのですが、このような凍結路面での交差点などで、2WD車の停止状態から発進しようとするとタイヤが空転し、なかなか前に進まない(ゆっくりは進む)のです。
 一方、4WD車の場合、すべてのタイヤに駆動力が伝わります。本当に滑りやすい路面であれば若干はタイヤが空転するかもしれませんが、2WD車と比べると非常に発進がしやすいと言えます。
 メーカー側もこの機能(+脱出性能)にフォーカスを当てた、生活4WD(主に軽自動車やコンパクトカーなど)と呼ばれる常時4輪駆動ではない4WDを数多く発売しています。

(常時4輪駆動の場合)走行安定性が高い

 これは、スバル車等一部の車に限定されるのですが、常時4輪駆動させて動いている車は、エンジンの力を4つに分けてタイヤを回しているため、2WD車と比べ走行安定性が高まります。凍結路面の時だけでなく、大雨や横風が強い時、カーブの時などにもその安定性は発揮されます。
 但し、軽自動車やコンパクトカーなどに装備される4WDの大部分は常時4輪駆動ではありません。前述の生活四駆と呼ばれるもので、前輪が滑った瞬間後輪が動き出すものや、温度などの諸条件を車載コンピュータが計算して滑りそうな条件下の時にだけ後輪を動かすものなどまちまちです。

 しかし、生活四駆は基本的に滑りそうな(る)環境がなければ後輪は動きません。ですので、4WD車で走行安定性が高いというのは常時4輪駆動を採用しているスバルの普通車(インプレッサ以上)か、高級モデル、スポーツモデルなど、一部に限られます。

車両売却時に高額で売却できることが多い

 これは、ミニバンや軽自動車で本当に顕著に現れます。軽自動車で一回中古車情報サイトを見ていただきたいのですが、北海道内・4WDを条件に指定すると同じ車種でも2WDと比べ価格が一気に跳ね上がることがお分かりいただけるかと思います。
 傾向としては、北海道は車を”日常の足”として利用する方が多いため、日常の足用途の需要が強い軽自動車、またファミリー層の日常の足となるミニバンで4WD需要はかなり強いです。

 需要が強いということは、売却時にも高額で売れる可能性が高く、2WDと4WDでは全然違った金額の査定となることが多くあります。

デメリット

4WD車のデメリット
  • 車両価格が上昇する(中古車では顕著なことも)
  • 燃費が2WD車に比べ落ちることが多い
  • 車のラインナップが限定される
  • 性能を過信しやすい
  • ブレーキ性能は2WD車と変わらない
車両価格が高い

 前述の4WD車のメリットである、高額で売却しやすい部分と相反することですが、4WD車はまず2WD車と比べ軽自動車で10~15万程度、コンパクトカーで20~25万程度、SUV車になってくると30~50万円ほど価格が上乗せされます。
 また、中古車では2WD車と比べ顕著に価格が上がることも珍しくありません。

燃費が2WD車に比べ落ちることが多い

 4WD車は2WD車と比べ、後輪まで駆動力を伝えるために様々なパーツが増えます。車両重量がかさみますし、駆動力も後輪に伝えるために若干のロスが出ますのでどうしても燃費は2WD車に比べ劣ることがほとんどです。
 最近は、4WD車でもあまり2WDと燃費性能が変わらないようなモデルも一部出てきてはいるものの、まだまだ少数派。ちなみに、ハイブリッド車では2WDと4WDの燃費差はかなり顕著に出る傾向にあります。

ホンダヴェゼル ハイブリッドXの場合・・・

4WD・・・23.2km/L 2WD・・・26.0km/L 差:2.8km/L

車のラインナップが限定される

 2WDしかラインナップしていない車種というのは意外と多かったりします。特にトヨタのハイブリッド車はそれが顕著でした。最近では、ホンダを筆頭にハイブリッド車の4WDも徐々に増えてきているものの、なんでも選べる!という状態ではありません。

性能を過信しやすい

 4WD車のいいところでもあり、悪いところでもあるのですが、かなり滑りやすい道でもあまり苦労せずに発進できたり、坂道も登れたりします。その結果、自分が走っている道が滑りやすいのかどうか気づきにくいという弱点があるのです。(2WDだと、発進時に滑ったりしてすぐにわかる)
 また、多く採用されている生活4WD(常時4輪駆動ではない、オンデマンド型)などでは凍結路のコーナリングでの滑りやすさはあまり変わりませんし(若干は良いとの声もありますが・・・)、何よりブレーキ性能は2WDと全く変わりません。(むしろ厳密に言うと若干4WDの方が重いので止まりにくい)

 結果、何が起こるのかというと、路面状況の把握をしっかり行っていないと滑りやすい道を見誤り事故を起こす可能性が高まってしまうのです。
 また、4WDだから大丈夫だという過信が事故を引き起こすケースもあります(悪路に強いはずのクロカン車が路外に飛び出しているのを冬になるとちょくちょく見ます)。

 4WD車は間違いなく冬道では楽に運転ができますが、性能を過信せずに運転する必要があります。

じゃぁ、2WDじゃ冬の北海道は走れないの?

 結論から言います。ほとんどの道は2WDで走行できます。特に比較的温暖な南部や雪の少ない太平洋側の地域では2WD車もかなり走っています。
 経験上、車が埋まりやすいのは除雪が遅れてしまった自宅の駐車場、もしくは職場の駐車場です。続いて、頻度は非常に落ちますが、除雪の遅れた住宅地の細い道。

 北海道はある程度雪が降れば除雪車が出動して除雪する体制が整っているほか、スタックしやすいシャーベット状の雪が多く積もるということが本州に比べ少ないのです(とはいえ、年に何回かは遭遇します)。さらに、北海道ではある程度の傾斜の坂道になるとロードヒーティングが設置されていることが多く、坂道を登れないということは一部地域を除いてほとんどありません。
 一番危ないのは、雪が積もった後に雨が降って、路上締まっていた雪がザクザクになった状態。逆に言うと、これ以外の時は2WDで問題なく走れることが多いです。

 もちろん、アイスバーンの発進の際などは勢いよく発進はできませんが、慣れれば普通に運転できます。実はタクシーもほとんどが2WDなんです。そう思うと、意外と大丈夫かな・・・と思えてきませんか?

但し、一部地域は4WD必須の地域もある

 住宅地の一部、特に丘の上にある住宅地の一部では4WDが必須の地域も一部あります。有名なのは、小樽や室蘭、函館の一部住宅地。また、札幌でも円山地区など一部4WDでないと厳しい地域はあります。

タイヤ幅の狭い軽自動車は4WDをオススメしたい

 軽自動車の2WDでもほとんどの道において走行はできますが、軽自動車のタイヤの幅は普通車に比べかなり狭く、接地する面積が小さいため凍結路での発進時や坂道発進は結構苦労する可能性があります。そのため、軽自動車で北海道の降雪地帯で利用する場合、基本的に4WD車をオススメします。

横滑り防止装置はあった方が絶対にいい!

 これは、北海道で車を買う方に強く推奨したいのですが、横滑り防止装置は絶対にあった方が良いです。個人的な見解ですが、横滑り防止装置のない4WDと横滑り防止装置のある2WDならば後者の方がオススメです(住宅地が4WD必須でなければ)。

ヨメ
ヨメ

私、この装置のおかげで一回命拾いした・・・

 横滑り防止装置は、ブラックアイスバーンなどでコーナーを曲がり切れずスリップした際に、可能な限り4輪のグリップを最大限生かし曲がれるように自動的に制御してくれる装置です。コーナーでのスリップは対向車との正面衝突を招くため大変危険。性能には限界はありますので、必ずしも危険を回避できるわけではありませんが、かなりの確率で危機回避ができます。ぜひ装着モデルを選んで頂きたいです。
 新車では最近のモデルは一部を除きほぼ必ず付いていますが、中古車を購入される場合は装着されていないものも多いので、チェックしてみてください。

まとめと個人的見解

北海道に4WDは必須なのか
  • 住宅地に急な坂道がある場合は4WD必須
  • 4WDは凍結路面での発進時やスタックを避けられるなど、非常に有利な面は多い
  • 一方、4WDは過信も生みやすい
  • 2WDでも北海道の冬季の道はほとんどが走行可能
  • 4WDは2WDに比べ、車両費用が高くなり燃料費も嵩む
  • (個人的意見)2WDでも未舗装の山やよほどの急斜面の道などに入らない限り、ほぼ走れることは走れる

 私は、もう13年ほど北海道で車を運転して、冬季の走行距離は20万キロを超えていると思いますが、実はその半分は2WD車でした。
 今は4WD車ですが、それは軽自動車だから。個人的には普通車であれば、居住地域にもよりますが、2WDでほぼ問題なく走行はできます。長距離走行や峠越えも問題ないでしょう。

 一方、凍結路面での発進時などでやや手間取ることは否めません。
 2WDか4WDか迷った際は、一度レンタカーなどで体験してみてもいいかもしれませんね。個々人の価値観によるところも大きいとは思いますが、迷った際はいろいろと比較して検討してみてください。

 以上、北海道=4WD必須!っていうわけではないというお話でした~。 

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